保育園や幼稚園、学校、そして家の庭やベランダに、ビオトープを作ろう!
保育園や幼稚園、学校、そして家の庭やベランダに、ビオトープを作ろう!
~小さくても都会のオアシスになり、生物多様性を守り、学ぶ拠点になります~
海と空の約束プロジェクト 西谷 寛
1 はじめに
「保育所や学校に生きものが集まるビオトープを作るお手伝いをします。」をミッションの一つにして、活動しています。「ビオトープ」とは、語源はギリシア語からの造語(bio(命) + topos(場所))で、「生きものの集まる場所」のことです。六甲山系や河川、海岸や里地里山も一つのビオトープであると言えます。また、家の庭や公園、学校など比較的狭いエリアも、「生きものが集まる場所」としての機能を果たしている場所も多いです。
都市化が進み、開発が進んだ結果、都会がコンクリートやアスファルトで覆われ、生きものたちが生活し子どもを生み育てる場所が激減しています。一見、人間生活に無関係なようなことですが、昆虫がいなくなると昆虫のお陰で受粉し種を結んでいた植物が影響を受けます。するとその虫や植物を食べていた鳥や生きものも成育できなくなります。徐々に互いに関係しあっている生態系は大きく変わっていき、最後は人間にも大きな影響が出てくると言われています。 案外、私たちが気づかないだけで既に大きな影響を受けているのかもしれません。
現在は神戸や明石の都会の片隅で、まだトンボや野鳥を見かけますが、更に都市化が進むと将来は、トンボも野鳥も、テレビやインターネットでしか見たことがない子どもたちばかりになるかもしれません。そうなると、生物多様性のもたらしてくれる様々なサービス(食物の供給、安全、環境保全、防災など)が維持できなくなれるばかりでなく、人類が自然環境への理解や何を守れば良いのか考える力も感じる力も無くなっていくのではと懸念して活動を始めました。
2 ビオトープの機能
都会における「ビオトープ」には、以下の機能があると考えています。
- 地域の生物多様性の拠点。(様々な地域の生物の生息、生育場所)
- 地域の生物多様性ネットワークの構成。
街路樹、公園、寺社林、周辺緑地、雑木林、河川、農地、海岸などと学校や保育園、自宅庭、工場やマンションの小さなビオトープがあることによって繋がっていって、地域の生物多様性が保全されるネットワークとなる。
- 人類(年代に関係なく)、日常的に自然や生物の営みを観察できる環境教育の場。
- 人間が安らぎや癒しを感じる都市空間。
- 大気浄化作用(緑地が増加することによる)
- 雨水の地下浸透の場(緑地や水辺が残ることにより地面、土壌が残る)になり水循環の健全化に繋がる。(都会の水の循環系は危機的だと感じています)
3 何を作ればいいか? 何を植えればいいか?
(1) 池は無くても。
「ビオトープ」を作るというと、「池」を直ぐに思い浮かべることが多いですが、「池」に限りません。例えば、私の自宅は、明石の明舞団地の近くにありますが、狭い庭に、直ぐ近くの雑木林で採集した「ムカゴ」を増やした「ヤマノイモ壁面緑化ビオトープ」があります。ほかにもブドウ(デラウェア)の壁面緑化も混在しており、周辺は住宅地ですが、ハチの仲間や甲虫類を中心にした昆虫とスズメやヒヨドリ、メジロ、シジュウカラ等の野鳥の集まるビオトープになっています。
自宅(西谷)ビオトープ遠景 自宅(西谷)ビオトープ近景
家のフェンス沿いにカンキツ類(スダチ、ユズ、スダイダイ)も植えていますので、蝶の仲間もたくさん遊びに来ます。ナガサキアゲハも飛んできますが、アシタバを植えたときは、キアゲハが良く飛来していました。
壁面緑化の下の家の壁には、神戸市西区の雑木林から持ち主の農家と一緒に切り出したクヌギをホダ木(シイタケ)があり、やはり昆虫やたくさんの小さな生物のビオトープになっています。
プランターに植物を植える場合も、花のことだけを考えずに、その植物を食草としている生きもののことも少し考えながら家やマンションの庭やベランダ、会社や工場の緑化、保育園や学校の校庭の緑化とビオトープ化が進めば、多様な生物たちのために良いのになあと思います。
- 池、水辺ができれば更に多様な生物多様性保全の空間に。
都会に土を残し緑化を進めることも重要ですが、あと、小さくても「池」「水辺」「湿地」を創造できれば更に集まる生物の種類は多様になります。
長田区の保育所の裏の園庭に2012年に手作りで整備した畳3畳ほどの「ビオトープ池」には、長田区の市街地ですが、整備した直後から、ツバメが巣作りの泥採取に飛来し、シオカラトンボ、ギンヤンマも飛来して、先生方や保育園児たちを楽しませています。
神戸市長田区の保育園のビオトープ
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